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竜神の末裔 No.44 レア:☆☆ HP:845 力:34 賢:29 守:18 早:43 特技 スクリュークロー かまいたち 生息地:砂漠 特徴:ツメの攻撃が得意 発生相性 水モンスターチーム 突撃魚チーム 砂漠チーム スナイプLv 竜神の末裔へ戻る ア行へ戻る メニューへ戻る
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Advanced Memory Suite(2019) By FM Skyline Genre Post-Vaporwave Hyakka 7.5 名前 コメント
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Memories Memories アーティスト ローラ 発売日 2012年7月11日 レーベル ユニバーサル インターナショナル デイリー最高順位 2位(2012年7月11日) 週間最高順位 2位(2012年7月17日) 月間最高順位 13位(2012年7月) 年間最高順位 162位(2012年) 初動売上 5172 累計売上 9066 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 Memories 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士 ケルディオ 主題歌 ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 7/17 2 新 5172 5172 2 7/24 12 ↓ 1954 7126 3 7/31 ↓ 853 7979 2012年7月 13 新 7979 7979 4 8/7 450 8429 5 8/14 316 8745 6 8/21 321 9066 2012年8月 ↓ 1087 9066 劇場版ポケットモンスター 主題歌 前作ビクティニと黒き英雄 ゼクロムビクティニと白き英雄 レシラム キュレムVS聖剣士 ケルディオ 次作神速のゲノセクト ミュウツー覚醒 宙 -そら-/響 -こえ-Every Little Thing Memories 笑顔いきものがかり 関連CD やじるしになって! Z女戦争
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周知事項 周知事項や、情報共有、意見等があれば投稿してください。 09/21開設テスト -- しか (2012-09-21 22 07 46) 出欠表にPW設定 PWはメンバーに確認を -- しか (2012-09-22 18 02 26) デッドライジング2手に入れましたよ~ 中古で1480円! まだ未プレイですが。。。 こっちもオンラインやりましょ♪ -- norakuma-x (2012-09-23 09 19 18) 近所のゲーム屋にデッドラ、ガンダム戦記 どっちも売ってなかったという・・・ -- 860 (2012-09-23 17 19 26) デッドラ、ソーコム、ロストプラネット買ったったwww -- しか (2012-09-29 20 16 46) ロスプラ2、ガンダム、レッドデッド、プレイ可。 ソーコムもそろそろ・・・ -- ヒゲ (2012-10-03 22 27 45) http //www.jp.playstation.com/psn/state2.html -- 860 (2012-10-08 23 06 47) ロスプラ2、買っちゃったw -- teeveeee (2012-10-14 19 28 19) アサシンまで一か月を切ったぞ!わかってるよな! -- ひげなし (2012-10-14 20 44 38) 2週間を切ったな・・・アサシンブレードを磨いておけよ? -- ひげなし (2012-11-06 01 38 00) あと1週間・・・真実などないのだ。 -- ひげなし (2012-11-11 23 27 20) 発売したぞ! -- ひげなし (2012-11-15 23 58 10) スナイパー2 6/27発売 -- 860 (2013-06-07 00 51 30) 6/27PSNメンテとか・・・・・9:00~14:00 -- ひげなし (2013-06-24 09 04 09) THE LAST OF US....................... -- ひげなし (2013-07-04 22 46 08) 名前 コメント 希望参戦ゲーム 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ガンダム戦記 4 (15%) 2 アサシンクリードⅢ 3 (11%) 3 デッドライジング 3 (11%) 4 CODMW3 2 (7%) 5 ソーコム 2 (7%) 6 マリカーwii 2 (7%) 7 レッドデッドリデンプション 2 (7%) 8 ロストプラネット 2 (7%) 9 BattleField3 1 (4%) 10 アーミー新作 1 (4%) 11 ゴーストリコン ワイルドランズ 1 (4%) 12 スト4 1 (4%) 13 スナイパー 1 (4%) 14 リトルビックプラネット2 1 (4%) 15 鉄拳TAG2 1 (4%) その他 投票総数 27 (その他より、選択肢の追加が可能)
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-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- ~現在"XBOX360 CoD4現代戦"を攻略中~ 雑談掲示板もヨロシクね! -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- snap.jpg 基本情報 配信名 リリカル○○配信 ジャンル 雑談・ゲーム 性別・年齢 女・三歳(たんたい♪) マイク 有 配信時間帯 不定期 配信者ページ http //livetube.cc/リリコ 配信告知blog http //rrkrrk.blog32.fc2.com/ リリカル配信掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/radio/5730/ wikiコメントログ http //www30.atwiki.jp/livetube/pages/668.html 配信をメールでお知らせ http //wassyoi.info/mail_form.cgi/2955f242309cee0f434cc3203c653608 skypeID lyricalrrk skype_status あなたは - 人目のこたファンです。 ▼実況作品名など ごにょごにょ +作品名 ボンバーマン ACT ? 大航海時代2 RPG ? レミングス PZL ? BackToTheFuture ACT ? PS +作品名 弟切草(蘇生篇) AVG 2シナリオクリア エースコンバット2 ACT ? ・・・いる! ? ? ムーンライトシンドローム HAD クリア SILENT HILL ? ? PS2 +作品名 侍道2 ACT 7シナリオクリア METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY ACT クリア バイオハザード4 ACT 配信外でクリア 007 Everything or Nothing ACT 配信前にクリア 天誅参 ACT 配信前にクリア ENTER THE MATRIX ACT クリア カルドセプトⅡ expansion TCG 配信前にクリア Grand Theft Auto Vice City ACT 配信外でクリア SILENT SCOPE FPS ? 絶対絶命都市2 ACT クリア ONEPIECEグランドバトル3 ? ? 007ロシアより愛をこめて ACT クリア 流行り神Revenge 警視庁怪異事件ファイル ? 100%コンプリート 桃太郎電鉄12 ? - イリスのアトリエ グランファンタズム ? - THE地球防衛軍 ? ノーマルクリア Xbox360 +作品名 アサシンクリード ACT クリア 天誅千乱 ACT ? バイオハザード5 ACT 他配信co-opクリア ACE COMBAT6 解放への戦火 ? ? Castle Crashersデモ ? ? NINJA GAIDEN2デモ ? ? トゥームレイダー Underworldデモ ? ? GRIDデモ ? ? Test Drive Unlimitedデモ ? ? Bomberman LIVE ? ? Left4Dead FPS ノーマル・アドバンスクリア Skate2 ACT - ベアナックル2 ? - BF Badcompany FPS - GUNDAM OPERATION TROY ? ? GrandTheftAuto4 ? ? ビューティフル塊魂 ? ? CALL OF DUTY4 MODERN WARFARE FPS 約10時間でノーマルクリア 特徴 ゆっくりとした語り口でコメントに対して、ゆっくり返す。 分からないことがあると辞書で調べる。結果コメント消化もゆっくりになる。 元Rさん カラオケ好き 「必殺!検索!」 「必殺!電卓!」 モノマネ…鳥→(`・ω・´)b ジジ→(´・ω・`) ぷーさん→(´;ω;`) ウォーリー→(´・ω: ;,.. 二文字とかのレスにさえ三分くらいかけて答える れきし 2008/10/1 0 13 20 「リリコ・ファミリー」を結成 10011110011011001 永久保存版 2008/12/12 「はいすぺっくPC」を購入 2009/02/07 「Xbox360」を購入 2009/07/** 「32型液晶テレビ」を購入 2010/01/19 「サイレントヒル」黒歴史化 アシスタント 虎太郎 虎猫の男の子 ひきこもり。こたって呼んでね ミケ 三毛猫の女の子。俺の嫁。最近行方不明なのです(´;ω;`)ウッ… クロ 黒猫の女の子。よく鳴く ネル 雉虎(キジトラ)の女の子 愛称→ねるにゃん 泣き声→「グワアアアアン」 マイクにねこパンチを繰り出す、配信クラッシャー。 ウッディ くろれしき 配信中の名言・迷言 「ワーオ!」 年増→としまし 終わった→おかった(リスナーが多くてテンパってたからと苦しい言い訳) I like cream pie!! サイレントヒルの血のついた鍵盤を目の前にし、「おっぱい」を連呼しつつ嬉しそうに曲を奏でていた。 カルドセプトサーガ配信にて第一ステージ(チュートリアル)で三回負ける 自分の配信中に自分のWIKIを編集した。↑ 後日、打開した↑↑ +CoD4MW配信でのコメント名言集 「リリコが存在する限り、誤射はなくならない」 ー名無し 「私の周りにいる奴は撃ちます」-リリコ 「自殺してください。」-仲間一同 「どんよりしてまっせー」-頼男 「もっと、奥に詰めろ!」-タモサン・スミス 「あいつがいる限り、俺たちの背中は危険にさらされる」 ーリリコ隊隊員 「自分が助かればそれでいい」-リリコ 「何でリリコが来るんだ」-ヘリ操縦者 「運んでくれ!リリコ~助けてくれ!!!」-操縦士 「おれたちはもうダメかもしれない」 ーリリコ隊一同 「俺たちの隊に死神とよばれた女がいてな」 -元リリコの同僚 「俺はまだ、しなねぇーよ」-仲間 「はい!!みんなもっかい配置についてね!」-監督 「さて何回撮りなおしかな?」-監督 一部改変有り 追加あったら随時編集お願いします 主が行ったネ申プレイ・m9プレイ リスナーの10番さんを凸させて放置プレイ リリカルゲーム配信で今後あなたがやってもらいたいゲームタイトルは? PS,PS2 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 The地球防衛軍2 23 (21%) 2 ぼくのなつやすみ2 23 (21%) 3 鉄拳5 15 (14%) 4 SPIDER-MAN3 12 (11%) 5 プリンスオブペルシャ時の砂 9 (8%) 6 テニスの王子様ドキドキサバイバル海辺のシークレット 8 (7%) 7 大神 6 (5%) 8 スペランカー 5 (5%) 9 FF11 5 (5%) 10 イリスorユーディorヴィオラのアトリエ 4 (4%) 11 ウッディ 1 (1%) その他 投票総数 111 XBOX360 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 コンデムド 7 (25%) 2 地球防衛軍3 4 (14%) 3 007慰めの報酬 3 (11%) 4 カルドセプトサーガ 3 (11%) 5 GTA4 2 (7%) 6 ガンダムオペレーショントロイ 2 (7%) 7 桃太郎電鉄16 GOLD 2 (7%) 8 CoD MW2 1 (4%) 9 L4D2 1 (4%) 10 アサシンクリード2 1 (4%) 11 侍道3 1 (4%) 12 鉄拳6 1 (4%) その他 投票総数 28 主のステータス 喋り B 思考力 B 歌唱力 A 英語力 A ゆっくり S ゲーマー A 鳥のマネ S PC はいすぺっく DAIGO☆ 日産の軽 配信環境 OS Windows XP Home Edition CPU Intel(R) Core(TM)2 Duo CPU E8500 @ 3.16GHz (2 CPUs) Memory 3072MB RAM VGA NVIDIA GeForce 9800 GT Sound Realtek HD Audio output リリコにメッセージ (´・ω・)つ火事場泥棒!!! -- (´・ω・)つ (2009-01-29 12 27 07) 火事場泥棒できませんでしたね!配信的に」やっておけばよかったかのぅw -- リリコ (2009-02-05 18 24 08) バナナさんいつも(?)ありがとう!次回もよろしくです♪ -- リリコ (2009-02-05 18 25 39) 今度一緒におでん食べましょう -- おでん (2009-02-06 03 06 41) おでん食べましょう!って名前の欄に書き込んでた危ない危ない・・・おでんおいしいよね!屋台のおでん屋さんに一度入ってみたいリリコであったまる -- リリコ (2009-02-06 07 55 44) コメントログー!何やら素晴らしい機能ですね!どうもありがとうございまっす!とても見やすくなりますね☆感謝であります(`・ω・´)ゞ -- リリコ (2009-02-06 07 57 35) 最近また流行り神やってほしいと思った(*´ω`*) -- 名無しさん (2009-08-14 12 47 25) 流行り神ね~私も実は気になってるwありがとーう!その内やるかもです(*´∀`) -- リリコ (2009-09-14 21 48 48) 名前 コメント すべてのコメントを見る 合計: - 今日: - 昨日: -
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「Cosmo Memorys-Remake FC-」の作品紹介ページです。 目次 ▼概要 ▼実況動画 ▼パンフレット ▼更新情報 ▼一言コメント ▼ネタバレあり掲示板 ▼コメント 概要 項目 内容 タイトル名 Cosmo Memorys-Remake FC-(コスモメモリー リメイク ファーストチャプター) 作者名 ジャム() 機種 Switch 作品ID 1454 制作年/月 2023/12 プレイ時間 約10時間~ 作品PR ツクフェス時代に初めて製作し、ひっそりと姿を消した作品をツクトリで復活させてみようと製作致しました。シナリオなどは当時のものに手を加えつつも、大筋はそのまま利用しているのでなんとも拙くはありますが、作者の好きをこれでもかと詰め込みました。ぜひプレイしてみて下さいませ! 実況動画 まだ実況動画はありません パンフレット 🌟パンフレットはこちら 更新情報 不具合修正やバランス調整など、作品の更新を行った場合に追記して下さい。 一言コメント 簡易なクリア報告/途中までのプレーだが作者に伝えたいことがある場合 などにお使いください。 名前 コメント ネタバレあり掲示板 この作品のネタバレあり感想をコメントする掲示板です。 ネタバレあり掲示板へ
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きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心の中で思い続け、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。行きたいところ、行くべきところぜんぶにじぶんが行っていないのは、あるいは行くのをあきらめたのは、すべて、じぶんの足にぴったりな靴を持たなかったせいなのだ、と。 (中略) じぶんの足は、完璧な靴につつまれる資格を失ってしまったのだろうか。 ───須賀 敦子『ユルスナールの靴』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「それで結局、私たちってなんなんでしょうかね?」 何気ない一言だった。 七草にちか───アーチャーのマスターであり、観客であることを選んだ少女であり、「まあ分かりにくいので私のことは七草ってことで」と言っていたもう一人のにちか───の疑問に、しかし答えられる者はこの場にはいなかった。いや、偶像であることを選んだにちかは「知らないですよそんなん」と、やはり何気なく口にしてはいたが。 七草にちかが二人いる。 論ずるまでもない異常事態だ。今までは状況的にも心情的にも切羽詰まっていたから「そんなの後!」と流せていたが、一旦落ち着いてしまえばそうもいかない。 私たちは一体、何なのだ? その疑問を放っておくことはできないし、なるほど確かに、Wが避けて通れない命題と称したのも納得ではあった。 「偽物じゃない、ってことは分かりましたよ。けど何が何やら……普通に考えれば、パラレルワールド? って奴だったりするんじゃないですか?」 「うっわ、我ながら安直な」 「うっさいですー、そっちこそ私のくせにマウント取らないでもらえますかねー? ていうか私じゃ何も分からないって丸わかりなんですから、お二人も何か心当たりとかあったりしません?」 憮然とした表情で振り返った先にいるのは、彼女たちの少し後を見守るように歩く、二人の青年だった。 煤切れた外套を纏う武骨な男、メロウリンクは寡黙な表情に少しだけ困惑の色を混ぜて。 白いジャケットを羽織る男、アシュレイは曖昧な笑みを浮かべながら。 「……俺に聞かれても困る」 「右に同じ、かな。推論に推論を重ねても出るのは憶測だけ。あれこれ想像することはできるけど」 メロウリンクが生まれ育ったのは硝煙揺蕩う鉄火場であり、まともな教育はおろか文明の恩恵に預かることすら稀な境遇であった。その時代において人類の版図は銀河系にまで及んでいたが、百年に渡る大戦争は本来築かれるはずだった高度な文明や数多の文化を根こそぎ奪いつくし、人々の生活水準は21世紀の日本と比較しても遥かに低レベルなものだった。 アシュレイが生きた新西暦も、第五次世界大戦と大破壊(カタストロフ)によって文明レベルが大幅に後退してしまった時代である。アキシオンの自然発生による旧暦機械技術の復興というブレイクスルーはあったにせよ、アシュレイの存命中にはついぞ、パラレルワールドの存在は実証されなかったと記憶している。いや、人奏者として覚醒したラグナとの会話の中で、「可能性域の観測による確率量子投射」という技術の存在が語られたが、結局はそれきりだ。 結論、二人が「にちかが二人いる」という異常事態に対して言及できることは皆無に等しい。できることと言えば、根拠のない憶測を好き勝手言うくらいである。 「けれど、いわゆるスワンプマンってことはないんじゃないかと思う。二人ともしっかり記憶があって、辿った経歴も細部が違うわけだからな」 「なんですかそれ」 「昔の思考実験だよ」 あるところに、不運にも雷に打たれて死んだ男がいたとする。そしてその時、同時にもう一つの雷が、すぐ傍の沼に落ちたとする。 なんという偶然か、この落雷は沼の汚泥と化学反応を引き起こし、死んだ男と全く同一、同質形状の生成物を生み出してしまう。 沼から生まれたこの物体は、死んだ男と原子レベルで全くの同一であり、見かけも脳構造も記憶も人格も完全なる同一人物である。沼を後にしたこの物体は、死ぬ寸前の男と同じ外見のままスタスタと町まで歩いて帰り、男が住んでいた部屋のドアを開け、家族に電話をし、読みかけの本の続きを読み、そして翌朝仕事場へ出勤する。誰も、沼から生まれた物体当人さえ真実に気付くことはない。 さて、この沼男(スワンプマン)と死んだ男は、果たして同じ人間と言えるのでしょうか? というものだ。 「界聖杯の誤作動で一人の人間が二つにコピー&ペーストされた、というなら明確に違った経験があるのはおかしい。もしスワンプマンなら完全な同一か、記憶や思考に抜けがあるかってところだろうしな」 「……いや、滅茶苦茶気持ち悪いですねそれ。昔の人は何考えてそんなこと言ってるんですか」「同感です。どこのプラナリアですか」 「ごめん、悪かったよ」 二人のにちかは「うへぇ」といった感じのリアクションを取る。脳内に如何な絵図を描いているのか、心底辟易した様子であった。 そんな百面相を前にアシュレイは笑みを浮かべた。その様子がおかしかったから、ではない。胸に去来する納得がためである。 ああ、やはり二人は違う人間で、しかし違わず"七草にちか"なのだと。 先刻のように反発することもあれば、今この時のように双子めいてそっくりなリアクションを取ることもある。 選んだ道は正反対で、しかしその在り方は鏡写しのような対極ではあり得ない。観客だろうと偶像だろうと、彼女たちは確かに二人の独立した人間で、同時に等しく七草にちかだった。 それはきっと、彼女たちが真に"生きている"からなのだろう。 一つの方向性に振り切れた人間は強力だ。光であれ闇であれ、強固な定義は揺るがない。 しかし同時に、それは思考停止と同義でもある。 観客、アイドル、あるいは光や闇、もしくは英雄や逆襲者。人の心の在り様など常に流動し揺れ動くものなのに、そうした「属性」に心を押し込めて自縄自縛に陥るのは、ある意味で最も楽な生き方でもある。 なにせ、自分の心という内的な要素ではなく、外付けのレッテルである属性に従えばいいのだから。これを思考停止と言わずに何と呼ぼう。 だからアシュレイは、七草にちかたちのことを決して弱者とは卑下しない。 惑い、迷って、揺れ動いて。真っすぐ立つことも真っすぐ歩くことも覚束なく、傍目からは危なっかしくさえ見るその在り方を否定しない。 道が二つに分たれたとしても、二人は間違いなく七草にちかであるのだから─── ───神と人に分たれた、九条榛士の別御霊。 ふと。 そう、ふと。 あまりにも些細な、常ならば見落としてしまうようなほんの僅かな違和感が、そこにはあって。 ───お前は"運命"であらねばならない。 「……」 「どうかしたんですかライダーさん?」 「……いや、何でもないよ」 思考と言動を切り離しながら、アシュレイは努めて何でもないように振る舞う。 その笑顔の仮面の裏側で、念話でもなく内界へ語りかけながら。 ───今の懸念、どう思う? ───可能性の話をするならば、俺には明確な否定も肯定もできはしない。だが前例がある以上、疑ってかかるのは当然の理屈だ。 ……ああ、そうだな。 そこで対話を打ち切り、思考の主体を現実へと戻す。 やらねばならないことは、向き合うべき問題は、山積みであるのだから。 「色々と話さなきゃならないこともある。アサシンの帰還を待つ必要もある以上、拠点は必要だ。このまま君の家を頼ってもいいか?」 「それは、まあ……ぶっちゃけそれしかないですよね。田中さんも待ってますし」 アシュレイの言葉に、やや複雑そうな表情で答える彼女。田中さん、という言葉に近くの茂みががさりとざわめく。 アシュレイは、やはり同じくそれに気づいている様子のアーチャーと目配せし、ほんの少し笑みをこぼす。 「ありがとう。それじゃあみんなで戻ろうか、焦らずにゆっくりと」 それは例えば、歩くような速さで。 決して生き急ぐことのないように。 月の煌めく夜の舗道。鉛色の敷石はひそやかな寝息と、堪え切れない溜息を漏らす闇の中へ伸び、街灯の無機質な白い明かりが静謐に照らしている。 街はとても静かだった。たった今、二人の少女が運命の岐路に立たされていたとは思えないほど、今もまた人の命が奪われる聖なる杯を巡る戦いがあるとは思えないほど。 決意(ユメ)の話は、ひとまずお終い。 ここからは現実のお話である。 如何に勇壮な決意をして、如何に悲壮な運命を辿ろうとも、人生とは物語ではなく現実であればこそ、区切りはつかずエンドロールも流れない。当人の精神的な問題が片付こうが、付随した物理的な問題は未解決のまま転がっている。 一人は観客を選び、一人は偶像を選んだ。 七草にちかは、七草にちかであることをようやく肯定することができた。 ならばこそ、彼女たちの聖杯戦争は、あるいはここから本当の始まりを迎えるのかもしれない。 ◇ 「おー、おかえりー」 どこか気の抜けた、楽しそうな声だった。 それは特有のトーンがそう思わせるのだろうか。七草にちかの住む古ぼけたアパートの一室で、不釣り合いに鮮烈な色彩を放つ少女を見て、アシュレイは思う。 田中摩美々は「今までずっとここにいましたよー」と言わんばかりにくつろいだ様子で四人を出迎えていた。今の今までにちかたちの対話を陰ながら見守っていたことなどおくびにも出さずに。 なるほど、確かに彼女もアイドルなんだな、と思う。演技が明らかに堂に入ったものだった。気配を察していたことと、首筋に薄っすらと張り付く汗を見なければ、あるいはアシュレイも騙されていたかもしれない。 「その様子だとー……ふふ、うまくいったみたいですねー」 「あははっ……うまくいった、でいいんですかね」 「その顔を見ればねー」 未だぎこちない二人のにちかに、悪戯っぽく笑う摩美々。その光景は283の公式プロフィールに書かれていた「人をからかうのが好き」の印象そのままで、ああなるほど。 「……良い子だな」 「えー、何か言いましたー?」 いや、と一言。どうやら彼女、にちか同士の間を取り持とうとしたり、人知れず会談を見守ったりと、面倒見は人一倍良いらしい。 Wが彼女の安全を最優先にするだけのことはあると、そこまで考えて。 「まあまあ、立ってないで座りなー。あ、スポドリでも飲むー?」 そういうことになった。 ◇ そしてアパートの一室に5人が集う。 そう大して広くもない部屋に、5人だ。はっきり言って窮屈であるし、主だったメンバーがうら若き少女なこともあって、アーチャーは霊体化して聞き役に徹すると言ったが、「ここまで来てそれはナシですよ」と彼自身のマスターであるにちかに無理やり引っ張られ、今は壁際に背をもたれて座っていた。 数瞬の沈黙があった。 けれど、それは居心地の悪さには繋がらなかった。 すべきことを終えた者、そしてこれからすべきことを明白に認識する者としての、共通した意識のようなものがあった。運命共同体とでも言えばいいのだろうか。友情や愛情ではないにせよ、その関係に嘘はない。 「それでなんですけど~……」 口火を切ったのは摩美々だった。 この中では明確にサーヴァントを連れ立たず、だからこそ先の対談でも中立の立場に在った彼女だ。会話の始動を担うにはある意味適役かもしれない。 「そっちのライダーさんは聖杯戦争をどうにかできそうなプランがあるって聞いたんですけど、それって本当なんですかー?」 ───……まあ、当然聞いてくるよな、それは。 にわかに場の空気が張り詰めるのを肌で感じながら、アシュレイは思考する。 十分予測できる質問だったし、当然の疑問でもあった。おそらくはW経由で聞き及んだのだろう。 現状、自分たちのみならず283関係者、そして聖杯の獲得と殺し合いを望まない陣営にはクリアすべき難題がいくつも存在したが、その中でも最大にして最終の課題がそれである。すなわち界聖杯内界からの脱出。それが叶わない場合、如何にマスターたちの人間関係を清算し、敵対陣営を無力化して安全を確保しようが意味はなく、可能性の消失と共にこの再現された東京諸共崩壊し、運命を共にするより他にない。 だからその手段が確立されているならば、当然詳細は把握しておきたいし、せめて現実性のあるプランかどうかだけでも知っておきたい。それは当たり前の話であるし、アシュレイたち自身がそのプランを旗頭に同盟の締結を提案してきた以上、避けては通れない話題でもあったが。 『ライダーさん、その……』 『ああ。俺としては洗いざらい打ち明けようと思ってるんだが、それでいいか?』 『え、いいんですか?』 念話の中で、マスターであるにちかは思いがけず聞き返す。アシュレイは思考のみで頷いた。 『そりゃあ私も大っぴらに協力してもらいたいなーとか考えてましたけど……でも梨花ちゃんの時はああだったし、とか思ってたんですが』 『あの時は本当に手を組めるかどうか、あるいは獅子身中の虫となる可能性もあったからな。結果的には良い関係を築けたと思うが…… ともかく、彼女たち───もう一人の君を相手に躊躇う理由はないさ。俺たちは否応なく一蓮托生の身だからな』 あるいは、夢破れた七草にちかが、嫉妬や八つ当たりで行動するような人間であったならば、また話は違っていただろう。 けれどそうではない。彼女の言葉に、想いに嘘はない。再起を望んだ七草にちかに、逆襲者を望まなかった七草にちかはその道行を祝福した。 ならばこそ、アシュレイ・ホライゾンの選ぶ道に迷いはない。元よりその身は、七草にちかの進むべき未来を指し示す羅針盤たればこそ。 もう一人の七草にちかを見捨てる選択肢など、最初から存在しないのだ。 『……それじゃあ、お願いします』 『ああ、任された』 そうして背中を押されて、アシュレイは返答する。 「その質問への答えは、YESだ。俺の持っている宝具を利用した案で、内容は───」 …………。 「宝具の借り受け。それを利用して界聖杯へのカウンターとなる能力を叩き込む、か……」 一通りの情報を話し終えた後、場に下りたのは再度の沈黙だった。 情報を加味する者、何とか理解しようとする者、怪訝な顔の者。三者三様ではあったが、その顔はどれも真剣そのものである。 「使ってみての実証ができないから証拠を見せろと言われても困るんだが、必要なら宝具の情報マトリクスを開示してもいい」 「俺から聞いてもいいか」 真っ先に口を開いたのはアーチャーだ。やはり変わらぬ表情のまま、糾弾ではなく純粋な疑問として、その言葉を投げかける。 「界聖杯を改変する方策を取るとして、その能力のアテはアンタたちにあるのか」 「三つほど確保済みだよ」 新型祝詞、異伝・虹鏡奉殿の神勅───論理回路形成による疑似プログラミング、並びに採光式現象操作能力。 第五次世界大戦用星辰兵器・天之闇戸───パラメータ操作による事象・環境改変能力。 奏でられる終焉は、銀に煌く狼の冬が如く───数式入力による物理的情報改竄能力。 シュウ・欅・アマツとラグナ・ニーズホッグ、新西暦が誇る最高峰の科学技術者が持つ星辰光は、まさしく世界を構築する数理そのものに干渉し、改変し尽くす可能性を持っている。 アメノクラトに関しては人間どころか生物に類する知性体ですらない機械だが、それ故に製造知識や後世での所有権を有するラグナ・シュウの両名を通じてその星辰だけを引き出すことが可能となっている。サーヴァントという形で英霊の座に登録されることにより、スフィアブリンガーは単純な星辰のみならず付随する象徴的能力までその効果の対象内に含めることが可能となっていた。 「勿論、この三つだけで対抗できるという保証はどこにもない。どころか、そもそも界聖杯の性質如何ではもっと異なったアプローチが必要になる可能性もある。 だから俺たちはできるだけ多くの情報……界奏で引き出せる力の「選択肢」を増やしたかったんだ。ただでさえ低い可能性だからこそ、万全を期する必要があるからな」 そう、既に彼らにも説明済みだが、このプランははっきり言って失敗の可能性が非常に高い。 界奏の発動は一瞬に限定される以上、行使できる工程は一つ───界聖杯の改変───に限定され、それ以前の問題である「界聖杯の特定」「界聖杯の性質把握」「そこに至るまでの他参加者との闘い」は界奏なしで進めなければならない。 よしんばそれら条件をクリアして界聖杯まで辿り着こうとも、それで界奏の力が通用するかと言えば疑問が残る。だからこそ、確実に界聖杯の力を上回れるだけの力を、事前に把握しておく必要があった。 「借り受ける力は界奏……スフィアの力に比例して底上げされるし、デメリットを排除してメリット部分だけをエンチャントすることも、能力同士を複合して所謂「いいとこどり」することもできる。数は力と言うけど、界奏に関してはまさにその通りだな」 「良いとこ取り、って……例えばつのドリルの効果を持ったでんこうせっかとかを使える、ってこと?」 なんならスピードスターもくっつけられますよ!と、にちかはにちかに何故か自慢げにドヤ顔していた。まあ、うん、元気が出てきたなら言うことはないだろう。言ってる意味はよく分からないけど。 「俺の提供できる案はあくまで界奏を使えるぞってだけで、別に界聖杯の改変にこだわる必要はない。 例えば、世界間レベルでの座標特定と空間転送能力があれば、内界の壁を突破してマスターたちを直接元の世界に送り届けることもできるだろうし、あるいは星の海を航行できる飛翔船なんて選択肢もある。 どちらにせよ、具体的に呼びかけ先を特定しなきゃいけないことに変わりはないけどな」 けれど、どちらかと言えばそちらのほうが難易度は高いんじゃないかとアシュレイは考える。空間転送能力ならナギサの星辰光が思い浮かぶが、規格外の能力値を持つ彼女の能力でさえ効果範囲は惑星単位を超えられない。パラレルワールドの存在まで浮かんできた参加者たちの転送先を指定するには、何もかもが足りてない状態だ。 「そういうことで、これが俺の提供できる最大限のプランになる。さっきも言ったけど、はっきり言って成功の確率は低いと言わざるを得ない。 0%の確率を、なんとか1%にできるかどうかってところだ。力不足で申し訳ないが……」 「いや、可能性が出てきただけでもありがたい。完全な0なら詰みだが、万に一つでも勝機があるなら賭ける意義はある」 それに、とアーチャーは続ける。 「俺は所詮、軍隊という集団からあぶれ出た雑魚でしかないが……英雄というのは、限りなく0に近い可能性を掴んだ者のことを指すのだろう」 「……そう、かもしれないな」 確かに、アシュレイの知る英雄は万に一つの勝機を、気合と根性で無理やり掴み取るような連中ばかりではあったが。 ならば、かつて憧れた英雄(ヴァルゼライド)に誰かの笑顔をこそ託された自分は、同じくして証を打ち立てねばならないだろう。 「確かに希望は出ましたけどー……でもやっぱり、魔法みたいにパパっと解決、ってわけにはいかないんですねー」 「……一応、机上論でしかないがそれらしい方策もあるにはある」 だからこそ。 アシュレイは、今の自分に思いつける方策全てを開示しておくべきなのだろう。 成功確率が完全皆無でしかないじゃないかとか、そんな言い訳は一切無視して。 「それらしいって……魔法でも使えるんですか?」 「似たようなものではあるかな。界奏……スフィアは本来、何でも願いを叶える魔法のランプみたいなものだから」 つまり、アシュレイが言いたいのはそういうこと。 「界奏以外のスフィア、人奏の力を借りることができれば、まず間違いなく目的は達成できる」 スフィア、極晃星という覇者の冠は、新西暦の長い歴史において総計七種誕生した。 滅奏、天奏、烈奏、界奏、閃奏、神奏、人奏。アシュレイが語るのは最終にして最新、それ故に異端のスフィアの存在である。 人奏/銀月神譚、竜人の輝く旅路に青空を(ウィッシング・スフィアゲイザー)。その能力は、人が生み出し得る全ての叡智の具現。 「これはあくまで与太話として聞いてほしい。ただでさえ成功確率の低い界奏プランより、輪をかけて成功があり得ないプランでしかないからだ」 まず前提として、それを言い含めておく。 これはあくまで与太話。その成功場面などアシュレイ自身ですら「不可能だろう」と思えてしまうほどの難易度であるからだ。 「結論から言ってしまえば全容はこうだ。界奏の力を使って、特異点の人奏に呼びかける。そして特異点までの道を作って、人奏に接触しその力を借り受ける。言ってしまえばそれだけのことなんだが……」 「えと、それってその、界奏?で直接能力コピーとかできないんです?」 「それは間違いなく不可能だ。極晃に極晃の重ね掛けをするわけだからな、あまりにも現実的じゃない」 そもそも界奏を含めて、スフィアとは魔術的な意味での"魔法"に近い、極めてド外れた能力である。 その真価を十全に発揮しようとすれば聖杯の権能を使ってようやく叶うかと言うほどの代物であり、本来ならば一サーヴァントの宝具として搭載すること自体が間違っているのだ。 それでも界奏が令呪三角という代償ありきとはいえ発動できるのは極晃七種の中で群を抜いて最弱であり、単独では一切意味を為さない能力だからであり、界奏の成立自体は呼びかけ先との相互負担で成り立つ本来ならば消耗皆無の力であるからだ。 それでさえ膨大な魔力プールを用意しても一瞬のみの発動、更に発動負荷に耐え切れずアッシュ自身の霊基は間違いなく崩壊するなどのデメリットがある。 そんなギリギリの状態で界奏を発動し、その上で他の極晃を二重発動するというのは、どう考えても現実的ではない。 「問題は更にある。そもそもこの人奏自体、もう特異点に情報は残ってないんだ」 人奏の誕生は神奏との決戦時、グレンファルトという創生の神祖を打倒するために生み出されたものだ。あまりにも汎用性の高すぎる人奏は仮に接触者が出た場合、地球上にあらんばかりの叡智をもたらし文明を急速に加速させる結果となってしまう。 そうなれば間違いなく世の中は大混乱だ。光狂いが暴れる必要さえなく、過ぎたテクノロジーのみで人類文明は自滅してしまうかもしれない。そうした危惧のもと、神奏の打倒と同時に人奏という極晃は特異点から抹消された。 その行使者であるラグナ・スカイフィールドという英霊の登録情報と共に。 「え、じゃあ借りれないじゃないですか。そういう意味で与太話ってことですか?」 「いいや。大事なのはここからだ。人奏は厳密にはスフィアではなく、極めて技術的に再現された疑似極晃で、再現性が非常に高いんだ」 それこそ人奏というスフィアが持つ最大の異常性。スフィアゲイザーは新西暦最初で最後の人造極晃星ともいうべき代物なのである。 本来スフィアとは、資格を以て到達するものである。能力値の極限突破、高位次元への接触媒体、想いを共有する唯一無二の誰か。それら条件をクリアすることで、ようやく究極に至ることができる。 人奏はそうではない。ラグナという人物は生まれからして決して極晃に到達する資格を持ち得なかった。能力を限界突破しようと、媒体を得ても、想いを共有する大切な人間を見つけても、決してスフィアに至れない。 ならば話は簡単だ。至れないなら作ってしまえばいい。 どこまでも技術的に構築された人造スフィア、それが人奏という星だ。そうした製造過程であればこそ、人奏は極めて高い再現性を持つ。 「人奏者ラグナ・スカイフィールドは英霊の座からも情報が抹消されている。けど神殺しラグナ・ニーズホッグなら話は別だ。後者の側に界奏で呼びかけ、もう一度特異点に人奏を"製造"してもらう」 これが他のスフィアなら絶対不可能なその所業を、しかし人奏だけは可能としていた。元々が資格もリソースもない状態でのカスタマイズという生誕経緯であるのだから、再現できない理由はない。 「然る後に俺自身の霊基を改造して、高位次元接触用の基盤に作り替える。界奏の数少ない取り柄で、次元間相互接続機能があるからな。等身大の筐体にしてしまえば、後は適当な高性能演算器でも補助に充てれば再製造された人奏までを繋ぐ経路になる」 「その話しぶりだと、お前自身が人奏とやらに接触するわけじゃないのか」 問われたアシュレイは言葉なく首肯する。そう、ここからが最も難題であり、彼をして不可能と言わしめる条件が出てくるのだ。 「俺では人奏に接触する資格がない。求められるのは演算能力、有体に言えば頭の良さだからな」 人奏は技術的に再現された人造物であればこそ、想いなどといった感覚的で曖昧な要素を一切受け付けない。 必要なのは演算。数式設定により緻密な値の入力であり、膨大な情報を処理できる頭脳を持つ者でなければ操作は愚か接触さえままならない。 「そして最後に、人奏を決して悪用しないと断言できる人間性も必要になる。これは資格というより、ラグナたちへの説得って意味になるが」 前述した通り、人奏はその力の一片でも流出すれば、人間社会に避け得ない混乱をもたらす。 ラグナたちはそれを嫌ったからこそ人奏を封じたのであり、ならばこそ万が一にも人奏を悪用する可能性を持つ人間にその使用を許諾はしないだろう。 つまるところ、纏めるとこうだ。 「世界で一番頭が良くて、万が一にも万能の力を悪用しないと断言できて、かつ俺たち脱出派に協力してくれて、界奏で呼び出せるパーソナルデータじゃなく実体を持って現界してる人物がいれば、この"人奏プラン"の実行は現実味を帯びてくるわけだ」 「無理ゲーじゃないですかそんなの」 「だな。俺もそう思う」 ついでに言えば、この人奏プランも界奏プランと同様に失敗の許されない一発勝負の大博打となる。 なにせ基盤に作り替えるアッシュは元より、人奏に接触する誰かも、間違いなくその負荷に耐えられず死ぬからだ。失敗すれば総計2名の有力戦力を無駄に消耗する結果になる以上、実行は慎重を期さねばならない。 まあ、最初に言った通り与太話の域を出ない以上、あれこれと考えるのも無駄骨ではあるのだが。 「ふーん……」 そんな中、摩美々だけは何か意味深な顔をして。 世界一頭が良くて、人間性も保証できて、脱出派な人物。 「心当たり、あるかもー」 まあ、それは"彼"が帰ってきてから話すとしようか。そう心に留め置いて。 「っはぁ~~~~~~~~、疲れたぁ~~~~~」 話がひと段落したと認識して、アーチャーのマスターであるにちかは緊張の糸が解けた声を上げた。 どうにもそれはこちらのにちかも同じ意見のようで、あからさまに休みたいという感情が顔に出ていた。 「もう終わりですよね!? ところどころ意味分かんなかったですけど、要するに何とかできそうってことでFA!」 「俺としてはアテができただけでも御の字だな。ところでアンタの宝具、ハイペリオンと言ったか。少し聞きたいんだが───」 なんて言いながら、アーチャーとライダーは再び何やらの談義に勤しみ始めている。持続性とかエンチャントとか破壊力とかそんな単語が聞こえてくるが、もういいや、ぞんぶんにやってほしい。 「まあ、あとはアサシンさんが帰ってくるのを待って───」 と、空気が和みかけた。 その時だった。 「……………………………………え?」 ふと、暖かな空気を切り裂くつぶやきがあった。 全員の眼が、そちらを向いた。 凍り付いたように固まった摩美々の手には、スマホが握られていて。 『君達のプロデューサーは死んだものと思ってくれて構わない』 少女たちにとっては見慣れた姿の男が、そこには映っていた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 同一人物が二人。 その実例を、アシュレイは知っていた。 ラグナ・ニーズホッグとグレンファルト・フォン・ヴェラチュール。高位次元に登録されたパーソナルデータを元にしたスワンプマンであるところの二人。 極めて異例、かつ限定的な状況で成立したこの二人の例は、二人のにちかには当てはまらないと、最初は考えていた。 けれど、違和感があった。 アシュレイのマスターであるにちか、仮に偶像・七草にちかと呼ぼうか。 彼女を取り巻く状況には、不可解な点が多かった。 何故、彼女の境遇は田中摩美々やプロデューサー、あるいは聞き及んだ幽谷霧子の知る物と乖離しているのか。 何故、同じく乖離した境遇を持つ観客・七草にちかがマスターとして存在しているのに、東京内界における七草にちかのロールは偶像・七草にちかにだけ宛がわれたのか。 何故、"元の世界で撮られたはずのライブ映像"が、東京内界におけるものとしてTV放映されていたのか。 何故、これほど283関係者と異なる世界線を持つ偶像・七草にちかのプロフィールが、東京内界におけるそれと地続きであるのか。 そして幽谷霧子から聞き及んだ情報、自我に目覚めたNPCの存在。魔力があれば可能性に目覚め、あるいは界聖杯から独立した存在に成り得るかもしれないという憶測。 これは根拠のない妄想に過ぎない。推測に推測を重ねた憶測ですらない、状況証拠だけの戯言でしかない。矛盾だとてある。 アシュレイ自身、そうであることを願っている。 しかし、その可能性に行き着いたからこそ無視はできなかった。 偶像・七草にちかは、界聖杯から生み出されたNPCである。 何とも荒唐無稽な、その可能性を。 【世田谷区 七草にちか(弓)のアパート/一日目・夜】 【七草にちか(騎)@アイドルマスターシャイニーカラーズ】 [状態]:健康、精神的負担(中)、決意 [令呪]:残り三画 [装備]: [道具]: [所持金]:高校生程度 [思考・状況]基本方針:283プロに帰ってアイドルの夢の続きを追う。 0:アイドルに、なります。……だから、まずはあの人に会って、それを伝えて、止めます。 1:殺したり戦ったりは、したくないなぁ…… 2:ライダーの案は良いと思う。 3:梨花ちゃん達、無事……って思っていいのかな。 [備考]聖杯戦争におけるロールは七草はづきの妹であり、彼女とは同居している設定となります。 【ライダー(アシュレイ・ホライゾン)@シルヴァリオトリニティ】 [状態]:全身に軽度の火傷(ほぼ回復) [装備]:アダマンタイト製の刀@シルヴァリオトリニティ [道具]:七草にちかのスマートフォン(プロデューサーの誘拐現場および自宅を撮影したデータを保存) [所持金]: [思考・状況]基本方針:にちかを元の居場所に戻す。 1:今度こそ、Pの元へ向かう。 2:界奏による界聖杯改変に必要な情報(場所及びそれを可能とする能力の情報)を得る。 3:情報収集のため他主従とは積極的に接触したい。が、危険と隣り合わせのため慎重に行動する。 4:武蔵達と合流したいが、こっちもこっちで忙しいのが悩み。なんとかこっちから連絡を取れればいいんだが。 [備考]宝具『天地宇宙の航海記、描かれるは灰と光の境界線(Calling Sphere Bringer)』は、にちかがマスターの場合令呪三画を使用することでようやく短時間の行使が可能と推測しています。 アルターエゴ(蘆屋道満)の式神と接触、その存在を知りました。 割れた子供達(グラス・チルドレン)の概要について聞きました。 七草にちか(騎)に対して、彼女の原型はNPCなのではないかという仮説を立てました。真実については後続にお任せします。 【七草にちか(弓)@アイドルマスター シャイニーカラーズ】 [状態]:健康、いろいろな苛立ち(割とすっきり)、プロデューサーの殺意に対する恐怖と怒り(無意識) [令呪]:残り三画(顔の下半分) [装備]:不織布マスク [道具]:予備のマスク [所持金]:数万円(生活保護を受給) [思考・状況]基本方針:生き残る。界聖杯はいらない。 1:アイドル・七草にちかを見届ける。 2:あの野郎(プロデューサー)はいっぺん殴る。 3:お姉ちゃん……よかったあ~~~。 [備考]※七草にちか(騎)のWING準決勝敗退時のオーディションの録画放送を見ました。 【アーチャー(メロウリンク・アリティ)@機甲猟兵メロウリンク】 [状態]:健康 [装備]:対ATライフル(パイルバンカーカスタム)、照準スコープなど周辺装備 [道具]:圧力鍋爆弾(数個)、火炎瓶(数個)、ワイヤー、スモーク花火、工具 [所持金]:なし [思考・状況]基本方針:マスターの意志を尊重しつつ、生き残らせる。 1:にちかと摩美々の身辺を警護。 2:『自分の命も等しく駒にする』ってところは、あの軍の連中と違うな…… 3:武装が心もとない。手榴弾や対AT地雷が欲しい。ハイペリオン、使えそうだな…… 4:少しだけ、小隊長のことを思い出した。 [備考]※圧力鍋爆弾、火炎瓶などは現地のホームセンターなどで入手できる材料を使用したものですが、 アーチャーのスキル『機甲猟兵』により、サーヴァントにも普通の人間と同様に通用します。 また、アーチャーが持ち運ぶことができる分量に限り、霊体化で隠すことができます。 アシュレイ・ホライゾンの宝具(ハイペリオン)を利用した罠や武装を勘案しています。 【田中摩美々@アイドルマスター シャイニーカラーズ】 [状態]:健康、赤い怒りと青い憂欝、動揺と焦燥感 [装備]:なし [道具]:白瀬咲耶の遺言(コピー) [所持金]:現代の東京を散策しても不自由しない程度(拠出金:田中家の財力) [思考・状況]基本方針:叶わないのなら、せめて、共犯者に。 0:ただ、プロデューサーに、生きていてほしい。 1:プロデューサーと改めて話がしたい。 2:アサシンさんの方針を支持する。 3:咲耶を殺した奴を絶対に許さない。 [備考]プロデューサー@アイドルマスターシャイニーカラーズ と同じ世界から参戦しています 時系列順 Back 支え合う心! あさひの覚悟と確かな繋がり Next 新月譚・火之神 投下順 Back 逃げるは恥だが役に立つ Next 新月譚・火之神 ←Back Character name Next→ 092 Hello, world! ~第一幕~ 七草にちか(弓) 114 掃き溜めにラブソングを(前編) アーチャー(メロウリンク・アリティ) 092 Hello, world! ~第一幕~ 七草にちか 114 掃き溜めにラブソングを(前編) ライダー(アシュレイ・ホライゾン) 092 Hello, world! ~第一幕~ 田中摩美々 109 緋色の糸、風に靡く(前編)
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―――二人の兄弟がいた。 白銀の兄と、金色の弟。 王家の血統として生まれた彼らの幼少期は、過酷極まるものだった。 白銀の兄は、遊ぶ事すら許されず、血の滲むような鍛錬の日々。 金色の弟は、世界を滅ぼしかねない力を知らず科され、預けられた養母の虐待に耐える日々。 当然、そんな環境で子供が健やかに育つはずもない。 白銀の兄は弟に憎悪を募らせ、金色の弟は寄る辺のない絶望の日々を送っていた。 これでは例え兄弟が再会しても、待っているのは惨劇の結末以外になかっただろう。 ―――私にはお父さんがいる。お母さんがいる。欲しかったお兄ちゃんまでいるのだ… そんな彼らの運命に転機が訪れる。 家族の健在。もたらされたその情報は、幼い金色の弟の心を希望に包んだ。 ならば、俯いてはいられない。何時か来る家族との再会の日のために。 母や、父や、兄に胸を張って自分は頑張ったと言えるように。 とてもか細い。希望と呼んでいいのかさえ分からない糸を、彼は決して手放さなかった。 そして、時は流れて。 遂に別たれていた兄弟の運命が交わる。 ―――許せ、ガッシュ。兄が愚かだった。 再会は、金色の弟が望んでいた穏やかなものでは決してなかった。 白銀の兄の憎悪は消えず、一国の命運をかけた壮絶な死闘。 その果てに放たれた、兄弟の道が別たれた象徴である雷の黄金龍。 一度はその力に飲まれそうになった物の、金色の弟は力の主として認められ。 金色の黄金龍は正しき担い手の元、食らいつくす。 兄の憎悪も、悲しみも、全ての悲劇を。 最悪の結末は、遂に訪れることはなかった。 ―――皆、待っておれ。待っておるのだ…私が必ず魔界で魂だけとなった皆を…生き返らせる…から…… 金色の弟は、どんな絶望にも負けなかった。 民のために全てを投げうち消滅と言う極点の力に抗う小さな背中は、正しく優しき王の背中だ。 そして、全ての民の力を結集し、金色に輝くその姿。 その姿を見て、月の兄は思うのだ。 あぁ、自分が背を向けた陽の光とは。 いつも、こんなにも。美しいものだったのかと。 ▼ ▼ ▼ 「どうしたアサシン。何を呆けた顔で立っている」 思考の地平から意識が浮かび上がり、アサシンと呼ばれた男の意識が覚醒する。 声の方へ視線を向けてみれば、幼い少年が此方を見上げていた。 白銀の髪。紫電の眼光。純白のマントを身に纏うその童子―――名は、ゼオンと言った。 「しばし……思案を……」 「そうか。近くこの戦いが本格的に始まるらしいが、不安にでもなったのか?」 「戯れを……」 その少年は、幼いながら大当たりと言えるマスターだった。 豊富な魔力量。鍛え上げられた肉体。サーヴァントにも比肩し得る雷の鬼血術。 瞬間移動から記憶の収奪など様々な特殊能力に加えて、頭の回転に至るまで申し分ない。 何より称賛に値するのはその肝の座り方だ。 歴戦の鬼狩りすら一目で恐怖する自分の姿を見て平然としている。 人間ではあり得ぬ複眼に、上弦の壱の文字が刻まれたこの『黒死牟』を、当たり前の様に従えているのだから。 このマスターを引き当てただけで、聖杯の獲得に一歩近づいたと言えるだろう。 だというのに。 「安心しろ。前にも言ったとおりだ。 俺に願いはないが、お前の願望の成就には協力してやる」 どうして、この童子を見ているとこんなにも心がざわつくのか。 いや、理由は漠然とだが理解している。 この童子を見ていると、どうしても思い出すのだ。 あの怪物と、弟である縁壱と共にあった頃を。 ―――ガッシュめ…消していやる!俺と同じ苦しみを味合わせてやる…! 魔力パスが刻まれた際に見たマスターの過去は、自分を呼んだのも頷けるものだった。 恵まれた弟への嫉妬に身を焦がし、心から憎悪し、殺し合った。 それだけ見れば自分の辿った道程と何ら変わりはない。 だが、結末は真逆だった。 兄弟の対立の果てにあったのは、事切れる弟の最期ではなく、憎悪からの解放だった。 その結末が、霊基にこびりついて離れない。 痣がある限り、自分に残された時間は少なかった。別の道などある筈もなかった。 縁壱と並び立つには、越えるには、人を捨てて上弦の壱である黒死牟となるほかなかった。 そのはずなのに。 この、幼き主を見ていると、そんな必要はなかったと言われているようで。 他の答えがあったのではないかといわれているようで。 どうしようもなく、心がかき乱される。 今すぐ傍らの刀を抜き放ち、斬り捨てたくなるほどに。 「……いるといいな。アサシン」 「……?」 「お前の弟だ。お前の記憶の通りの剣の天才ならばサーヴァントになっていても不思議はないだろう」 その言葉に、強制的に意識がが主へと引きつけられ、揺れる。 そう、自分が英霊となっている以上、あの男も当然『座』に招かれているだろう。 いなければおかしい。 だが、仮に居た所で何になると言うのか。 奴は鬼狩りで、自分は鬼だ。殺し合う以外に行きつく果てはない。 自分が奴に憎悪以外の感情を抱いていない以上、それ以外の結末などあり得ない。 「本当にそうか?お前がかつて弟に抱いていた物は…本当にそれだけだったのか?」 見透かしたようなマスターの言葉。 彼に記憶を読み取る能力があるのはアサシンも知っている。 きっと令呪を源としてアサシンの記憶や思考を読み取ったのだろう。 だが、その上で黙れと叫びたくなる心を、アサシンは必死で抑え込んだ。 「此処で出会ったなら…お前たちは聖杯によらずとも違う答えが出せるかもしれない。 俺はそれを期待している」 アサシンは無意識のうちに胸に丁寧に仕舞われた玩具の笛をぎゅうと握る。 黙れ。黙れ。黙れ。 10年も生きていない童が勝手に理解した面をするな。 聖杯という奇跡によって私はあの怪物と同じ高みへと昇り詰める。 それ以外の答えなど、必要ないのだ。 「憎しみは何も実らせん……この聖杯戦争で見つかるといいな、アサシン。 憎しみ以外の、新しい答えが」 やめろ。 お前は縁壱ではない。お前は私の側のはずだ。 分かっているはずだ。私と縁壱の間に、それ以外の答えなどなかったと。 私は、あの化け物が嫌いだと。 それなのに何故、そんな瞳で私を見る事ができる。 ――――一緒に暮らしてくれるか?ガッシュ。 だが、しかし…何故だ。何故なのだ。 お前は、お前たちは縁壱ではないのに、どうして… どうして、そんなにも―――― ―――――そんなにも、眩しいんだ。 【クラス】 アサシン 【真名】 黒死牟@鬼滅の刃 【ステータス】 筋力B 耐久B 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具C 【属性】 秩序・悪 【クラススキル】 気配遮断:A サーヴァントとしての気配を絶つ。 完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 【保有スキル】 鬼種の魔:A 鬼の異能および魔性を表すスキル。 鬼やその混血以外は取得できない。 天性の魔、怪力、カリスマ、魔力放出、等との混合スキルで、アサシンの場合魔力放出は"月輪"となる。 至高の領域:A 透き通る世・無我の境地とも。 相手の肉体を透過して見る事が可能となり、微妙な筋肉や骨格・内臓の動きから相手の行動を先読みできる。 見切りと無窮の武練の複合スキル。 400年の妄執:A 400年間抱き続けた日輪に対する羨望と憎悪。 戦闘続行及び精神汚染、自己改造の複合スキル。 このスキルが高まる程純正の英霊から遠ざかり、精神干渉をシャットアウトする。 彼にとっての日輪である縁壱が脳裏を過るたびに戦闘続行、自己改造、精神汚染にボーナス補正がかかるが、 最大まで補正がかかると二つ目の宝具が発動する。 【宝具】 『上弦の壱』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大補足:50人 多くの人間を喰らい、命尽きるその瞬間まで人に恐怖を与え続けた"上弦の壱"の肉体そのもの。 非常に高い再生能力を持ち、急所である頸を切り落とす以外の手段で滅ぼすのは非常に困難。 本来であれば"日輪刀"で頸を落とす必要があるが、英霊の座に登録されたことにより弱点が広範化。 宝具級の神秘を持つ武装であれば何であれ、頸を落として鬼を滅ぼせるようになっている。 アサシンは唯一鬼でありながら鬼狩りの剣士が扱う呼吸術に精通しており、それを自身の血鬼術と呼ばれる特殊能力と組み合わせて戦う。 その結果剣士とは思えぬ間合いの広さと鬼の中でも群を抜いた肉体性能を誇る。 しかし欠点として日光を浴びると肉体が焼け焦げ、浴び続ければ灰になって消滅してしまう。 このため太陽の属性を持つ宝具、それどころかただの太陽光でさえ致命傷になり得る。 『生き恥』 ランク:E 種別:対自己宝具 レンジ:0 最大捕捉:黒死牟 前述のスキルである400年の妄執の補正が最大値まで発生した時に発動する宝具。 頸の弱点を完全に克服し、戦闘続行と自己改造のスキルが最大まで跳ね上がるが、逆に精神耐性はEランク相当までダウンする。 その時点で自己改造が最大まで高まった自分の姿を認識してしまったとき、アサシンは現界を保てず消滅する。 【weapon】 『月の呼吸』 その気になれば肉体そのものから生やすこともできる。 【人物背景】 鬼舞辻無惨配下の精鋭、十二鬼月の一人。 その中でも頂点とされる上弦の壱に位置する最強の鬼。 人間であった頃は鬼狩りとして鬼と戦っていたが寿命を一気に縮める痣が発現したことにより弟と袂を分かつ。 鬼になって以後は陽の呼吸を知る剣士を一人残らず抹殺し、戯れに鬼狩りを狩る日々を送っていたが最後は鬼狩りの最上位である柱複数人がかりで倒され、何もつかめずその生涯を終えた。 【サーヴァントとしての願い】 界聖杯を手に入れ、緑壱を超える強さを手に入れる。 【マスター】 ゼオン・ベル@金色のガッシュ! 【マスターとしての願い】 願いはないが、アサシンがほっておけないので付き合ってやる。 【能力・技能】 多種多様で高威力の雷の術。そして齢6歳ながら鍛え上げられた肉体性能。 記憶の読み取りや収奪、瞬間移動などの特殊能力も有している。 【人物背景】 魔界の王子にして、ガッシュ・ベルの双子の兄。壮絶な英才教育と鉄拳制裁を受けて育てられ、その才能は王宮騎士の中でも恐れられるほどの域に達している。 初級呪文で他の魔物が持つ中~上級呪文を打ち破る程度は何のその、身体能力も並の魔物では狂戦士化の禁術を使っても相手にならないほど。 かつては弟への憎悪を原動力に行動していたが、今は和解し、弟へ兄としての愛情を向けている。
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クリステイアーネ・フリードリヒ&アサシン ◆KQwctnrg6E 「戦争? 殺し合い? 全くもってくだらん。義に反する行いだ。私はこの戦を、否定する」 少女は凛として言い放つ。綺羅びやかな金髪と、真白い制服は彼女の高潔さをこれでもかと主張せんとばかりにはためいた。 そんな物言いを受け、対面に座する童女は溜息を漏らした。しかしそれでは決して向かい合った少女を嘲るような色が篭められてはいない。むしろ――姉妹を見守るような温かい感情が宿っている。 「ま、お前さんならそう結論付けるだろうと思った」 童女は小さな身体を揺らして薄く微笑んで見せる。その手には、童女の体型にはひどく不釣り合いな酒瓢箪がぶらさげられている。風紀の象徴とも言わんばかりの少女と、その振る舞いは対極の境地にあった。 されど。童女に現代人間社会の風紀は通じない。 なぜなら童女は、その小さな頭から捻れ伸びる双角が示す通りの人外存在。”鬼種”なのだから。 ◇ ◇ ◇ クリステイアーネ・フリードリヒは騎士である。 親を慕い、日出ずる国に夢を見て、和を学び、人生の宝に値する友を得た武士である。 何よりも正義を重んずる気高き乙女である。 たとえその融通を殺した正義が不和を生む事を顧みたとしても。 信じ続けた親に反する事になったとしても。 それでも彼女の心に義の心が絶える事は無かった。 故に――記憶を取り戻し、聖杯戦争の運びを知った彼女は真っ先にこの戦争を否としたのは、自明の理であった。 「他者の命を贄に得るべき願いなど――この私には存在しない。他の誰かにもあってはならない」 手元のレイピアは、偽りの世界にあってなお彼女の寄る辺として銀色の光を放つ。 それを見やって、サーヴァントはあえてクリスの「宣誓」を遮るように口を開いた。 「成らば人間。お前はその義を以って何を為す」 童女の姿から放たれる声色は決して子供のそれではなく、平安の世に憚った鬼としてのそれであった。 その鬼の言葉をクリスは動じる事なく聞き入れ、座する己がサーヴァントに向け力強く宣誓した。 「――自分はこの戦いを止める。こんな邪道は、地獄は、義に外れた理が世を司るなど、この私が認めんっ!」 この偽りの世界にも居た、愛すべき仲間たち。 その何れもが、例え偽物であったとしても。自分の様に正面から矛先を向ける形になるまいとも。 同じくしてこの戦争を肯定はしまいという確信が、クリスの確固たる信念を固めていた。 「ん。……ならそうしようじゃないか、マスター」 「え」 瓢箪の酒を一口。しかしサーヴァントはそんな力強い言葉を聞き、何でもない風に返すのだった。 呆気にとられたクリスは思わずぽかんと口を開く。双方の間にあった先ほどまでの緊張感は、とっくに霧散していた。 「いや、”え”ってさ。今のがただのポーズって玉でもあるまいに。どうしたよ」 「だって、内心こんなことを言ったら怒られると思ってたんだ」 すっかり勢いを削がれた風にクリスは小さく漏らした。彼女の喜怒哀楽を見て、その数倍の時を生きる鬼はやはり歳相応だなと笑う。 「怒られる、ねぇ。あっはっは、お前さんそれでもあんな事を言った訳かい」 「……ああ。例えそれがお前の意にそぐわない物だとしても、自分は信念を曲げて義に反する訳にはいかないからな」 どこかバツが悪そうに口ごもるクリスの頭を、愛おしそうに小さな手が撫ぜる。 立場が逆だと、見てくれの構図に赤らむ彼女を、この鬼はいたく気に入っていた。 「それが良かったのさ、マスター。お前の信念……というか、生き様がな。それだけで私がお前さんの義を全うするには事足りる」 「……萃香」 「アサシン、と呼ぶがいい。余り嬉しくない称号だが、真名を漏らして良い道理も無いよ」 慈しみに満ちたその言葉を、クリスは複雑そうな顔で受け止めてみせる。 ドイツで生まれ育った身ながら日本人以上に日本を愛し、その道に限っては軍師の渾名を持つ友に引けを取らぬ聡さを持つ彼女は、この鬼の本質を既に悟っていた。 「……『情けなしよと客僧たち、いつわりなしと聞きつるに、鬼神に横道なきものを』……か」 大江山の鬼の辞世の句。鬼のサーヴァントの最期を語る言葉が紡がれる。 鬼はその言葉を、どこかむず痒そうに聞いていた。 「言ってしまえば、そんなもんは我儘に過ぎないんだがな。しかし、よく知ってることだ」 「日本の文化はだいたい知ってるんだ」 えへんと胸を張るクリス。それ以外の成績を顧みれば決して無心に威張っていいものではないのだが。 まあ、趣味を磨くことは決して悪ではなかろう。今は成績を気に病む余裕のある時でもなし。 「邪道を以って征する――裏返せばそうするしか無かったって事なんだよ。 手を選んでいたら私は殺せなかった。謀を用いてでも首を狙われるだけの事を私はしてきた。 だからそれは畜生にも劣る人面鬼心にとり当然の報いで、死に様に今更は未練はないさ」 鬼は、平安の世の生に思いを馳せる。 その名を酒呑童子。源頼光に果たしてその首級を取られる事となった、鬼の頭領。 マスターであるクリスにとり、悪と言える伝説の持ち主は、昔話をするように自らの末期をそう語った。 「マスターが怒られるって思ったのは、私が悪い鬼だから殺し合いを望んでる。 もしくは憤死に未練を残して叶えたい願いがある、という様なもんを想像してたからだろう」 「ひ、否定はしない」 「怒らないってば。むしろ私の方がお前に怒られそうな生を歩んでるもんだがね」 鬼は苦笑いしながらマスターを諭す。すっかり保護者と子供の上下関係が出来上がっているが、こればっかりは年季の違いが生まれた摂理というものである。 「でも、ありゃあ全部私の中じゃ終わった話だ。今更どうこうしようって気は無い。 そもそも私は、こっちに呼ばれる以前に第二の生を歩んでいたからな」 「幻想郷って奴だったか? そっちは自分、聞いた事無いんだが」 「ま、何しろ幻想だからねぇ。現実に生きていたマスターが知らなくて当然の世界だよ。文字通りのな」 鬼は――酒呑童子でない、もうひとつの名を「伊吹萃香」としていた。 むしろこちらこそが鬼の本質であり、大江山の絵巻は現世の歴史に置き去りにしていたはずだった。 あるいは伝説としての「酒呑童子」が、幻想郷に生きる鬼としての「伊吹萃香」と混濁しこのサーヴァントを生んだのかもしれなkった。 しかし鬼はその答えには拘ってはいなかった。故にクリスには未だ語っておらず、その時が来るとすればこの不透明さを解明する事が是となる時だと考えている。 「そんな訳で――私は未練を晴らすため、とかじゃなくてさ。 お前さんの義を、『横道なき道』を導いてやりたくてここにいる……って事になる。 ……今更何を賢人ぶって。とか思ってくれて全く構わないよ。偉そうに言ったところで、これは単なる私の意地に過ぎんからな」 「……いや。そんな事を思うものか」 儚げに語ったその双眸を、義を宿した少女は蔑む事無く見据える。 畏れ深き伝説を纏った小さな手をクリスは両手で掴んだ。 「アサシンが過去にした事が何であれ。今ははこうして志を同じくする仲間に違いはない。 嘗ての悪鬼道理に暴虐を尽くそうという気がある筈でも無いんだろう? だったら、自分はお前を否定する理由などありはしないさ」 萃香を掴む手に宿った熱。その感覚を、萃香はどこか懐かしげに感じていた。 「この手を疑う事なく握り返す事が出来る。矢張り、こんなに嬉しい事は早々無いな」 「改めて願い入れる。自分に力を貸してくれ、酒呑童子……いや、伊吹萃香」 萃香は感慨深げにその「願い」を聞き入れた後、主の手を握り返す。 悪逆無道を尽くした鬼神が、正々堂々を尽くす人間の矛となる覚悟を結ばんが為。 「応さ。任せよマスター。お前の義は私が守るでな。 もとより私は、そのためにここにいるのだから」 【クラス】アサシン 【真名】伊吹萃香@東方project 【属性】混沌・中庸 【パラメーター】 筋力:B 耐久:B 敏捷:A 魔力:C 幸運:C 宝具:A 【クラススキル】 気配遮断:A+ サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 『密と疎を操る程度の能力』の霧状化に寄る運用。 【保有スキル】 怪力:A 一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。 使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。 戦闘続行:A+ 往生際が悪い。 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 源頼光によって首を飛ばされてもなお、襲いかからんと悪あがきをした。 密疎操作:EX(A) あらゆる存在の密度を萃め、散らす力。 自身の身体や岩、意識などその干渉対象は多岐にわたる ただしこれは「伊吹萃香」としてのスキルであるため、「酒呑童子」が混ざっている アサシンが使用する場合には干渉に著しい制限がかかる。 伊吹瓢:C アサシンが持つ瓢箪。中の「酒虫」のエキスによって、 入れた水を酒に変換する事で、水がある限りはいくらでも酒が取り出せる。 【宝具】 『大江山百万鬼夜行(おおえやまひゃくまんきやこう)』 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1 #65374;99 最大捕捉:1000人 大江山の鬼の頭領たる酒呑童子、蜜疎を司る伊吹山の鬼たる伊吹萃香、両方の力が顕現した固有結界。 展開される心象風景は酒呑童子の支配した大江山と、伊吹萃香の起こした異変の象徴である宴会場が混じり合っている。 結界の内では茨木童子や星熊童子等、嘗ての配下の鬼たちが召喚されその暴虐を以って仇なす者に襲いかからんとする。 ただしこれらの軍勢は酒呑童子の記憶を核とし、伊吹萃香のに密疎を操る能力を一時的に開放、 応用して再現した事象再現であって独立サーヴァントの召喚を行なっている訳ではない。 そのため展開と維持に多大な魔力を擁するため、派手な力の割にアサシンらしい慎重な運用を必要とする。 また、この顔ぶれには伊吹萃香の記憶が少なからず影響している点があるようだ。 『神便鬼毒酒(しんべんきどくしゅ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 人が飲めば千人力の薬となるが、鬼が飲めば飛行自在の神通力を失うという神秘の酒。 アサシンが持つ伊吹瓢の酒を、更に変質させて盃に満たす事で使用出来る。 源頼光が酒呑童子を討伐する際に神から授けられ、これを飲んだ酒呑童子は毒により動けなくなる。 鬼に属する存在が摂取するとすべてのランクがDランクまで低下し、魔術の類が封じられる。 一方で純粋な人間が摂取すると、身体能力だけならサーヴァントと相対する事も可能となる。 但しどちらも効力は短時間の上、人間が摂取すると大きな副作用を齎す事となる。 【人物背景】 平安の京で暴虐を尽くした最凶の鬼頭領。 正面切り我が道を往くことを信条とし、神便鬼毒酒による謀で源頼光に討たれた時は 「情けなしよと客僧たち、いつわりなしと聞きつるに、鬼神に横道なきものを」と恨み言を投げかけた。 または幻想郷に住まう、幻想と思われいた鬼種のひとり。 宴会が減った事を不満に思い、能力を使って宴会が繰り返される異変を引き起こした。 アサシンはその両方の性質が混ざった特殊な存在。 正確に言えば「伊吹萃香」として召喚され、そこにサーヴァントとしての性質として 「酒呑童子」が交じり合ったという形になっている。 【サーヴァントとしての願い】 マスターの「義」を導く 【マスター】 クリステイアーネ・フリードリヒ@真剣で私に恋しなさい! 【マスターとしての願い】 殺し合いを止める。 【weapon】 レイピア 競技用のレイピア。フェンシングを嗜むクリスは常にこれを携帯している。 【能力・技能】 人間としては非常に高い戦闘能力を誇り、武術の達人程度では相手にならない。 素手のみによる格闘術も当然備えており、人間としては相当に強い部類である。 が、川神の武人の中ではそれほど格付けとしては高くはならない。 【人物背景】 川神市の仲良し集団「風間ファミリー」の新顔。ドイツ人。 正義を重んじるが勇敢な少女だが融通が聞かず、空気が読めない。 そのせいで仲間と衝突する事もあったが、過ちを認め反省して成長しつつある。 【方針】 聖杯戦争を止める方法の模索
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とあるマンションの一室で、二人の男が話し込んでいる。 双方とも表情はいたって真剣、テーブルを挟んで一言、二言と言葉を交わし、そして頷く。 眼前のテーブルの上には、数百万はあろうかという札束が無造作に置かれていた。 「ほなこれで……どないでっか」 「うむ」 頷いたのは、博物館でしか見れないような古風な服装を身にまとった、険しい表情の男であった。 現代のマンションの一室にこんな恰好でいるなど、どう見ても尋常ではない。 何者かとその顔をよく観察すれば、人の世の裏も表も見渡してきたと言わんばかりの苦労の跡が、眉間の皺と眼元のくまに表われている。 そして何より、生まれながらにしてその身に纏う王気とも呼ぶべき威厳が、この人物が只者ではないと無言のうちに語っていた。 ――そう、この人物はサーヴァントである。歴史にその名を刻むに相応しい偉業を成した大人物なのである。 「では、確かに」 そのサーヴァントに向かって、もう一方の男がテーブルから札束を二つほど掴みあげ、それをずい、と差し出した。 スーツに銀縁眼鏡、こちらはいたって普通の当世のいでたちだ。 差し出した手の甲には真紅の紋様が刻まれており、その男が聖杯戦争の参加者――令呪を持つマスターの一人であることを示していた。 「……貰おう」 「あげたんと違いまっせ。貸したんでっせ」 「そうだったな」 札束を受け取ったサーヴァントは苦笑した。 サーヴァントとは、すなわち古の英雄だ。 歴史に名を刻んだ破格の稀人だ。 そのことを知っていてなお、その真名を知っていてなお、全く怯えを見せぬ胆力は呆れるほどに見事という他ない。 「二百万のうち十日分の利息を前もって頂きますよって、そちらには百八十万お渡しということになりますな」 「ハッ、阿漕なものだ。払わぬといったらどうなるのだ?」 「そらあもう……令呪三画ぜんぶ使っても取り立てまっせぇぇぇぇッ!!!!」 ハッタリではない。 この男は絶対に取立てを諦めない。 ヤクザだろうが政治家だろうが英霊だろうが、貸した金は必ず取り立てる。 それがミナミの鬼と恐れられた萬田銀次郎という男である。 ◆ とある町役場にて。 「ごめんやっしゃぁぁぁぁあ!!」 「何事ですか一体……げ、げぇぇっ! 萬田さん!」 「毎度! 皆山はん、今日が利息の振り込み日でっせ」 「わ、わかった。わかってるから職場まで来られると、私の立場というものが……」 「前の利息の振り込みトバシかけといて、おかげでワシの金貸しとしての立場が危ういっちゅうのに、オノレの立場がどないやっちゅうんじゃボケェ!」 「ひぃぃぃぃぃ!!!!」 ――まったく、今の世も変わらんな。 とある繁華街にて。 「毎度! 今回の利息、確かに頂きましたわ」 「あの……申し訳ないんですが、もうちょっと貸して頂けませんか」 「そら構いまへんけどな……ホストクラブ通いもほどほどにしとかんといけまへんで」 「か、関係ないじゃないですか、萬田さんには」 「関係ありまっせ。アンタが焦げ付かせた金額がデカければデカいほど、無茶な取り立てせなあきまへんからな。 ソープに落とすだけで済む金額ならワシも面倒が少なくてすむんや」 「……」 ――金を持っていない者ほど金を吸い取られる。 とある夜のオフィス街にて。 「広瀬はん、こんな夜中にどこにいかれるんでっか?」 「げ、げええええええええ、萬田はん!!?? い、いや、ちょっとビジネスや、忙しいんで、また後で……」 「権利書から小切手帳から全部持ち出して、何のビジネスだすか?」 「な、なぜそんなことを……!」 「おどれ、全部ウラは取れとるんやどぉぉぉぉ!! この萬田銀次郎から金を借りたまま夜逃げしようとは、このダボがぁぁぁぁ――ッ!!」 ――金を持っている奴ほど、金を払うことを惜しむ。 とある怪しい企業事務所にて。 「萬田さぁん、アンタのとこの借金ってさあ、違法だよねえ」 「へえ、それが何か?」 「だったらさあ、過払い問題ってやつ? 正規の利息分だけしか払う義務はないよねえ」 「しかし、その条件で承知して借りたのはあんさんでっせ?」 「関係ねえええええ!! 関係ェェねえええええ!! 法律でそう決まってるなら、悪いのは違反してるアンタの方だああああああ!!」 「なるほど、そういうことなら……アサシンはん、頼んます」 「は? 何言って、え、ちょっと、何こいつら、いつの間に、出てきて――」 ――儲かっている奴ほど、金を惜しむ。もっと儲けられるはずだと払う金を惜しむ。 「承知した――――貴様。今すぐ、金を払え」 ◆ 「かんぱーい!」 ここは冬木市内のとある料亭の一室。 萬田銀次郎とそのサーヴァントであるアサシンは、慰労の食事会を行っていた。 アサシンの服装は自分の生きた時代のそれではない。 当世のブランドスーツにべっこうぶちの伊達眼鏡で、厳格なビジネスマンといった雰囲気を醸し出している。 他にもコート、ビジネスバッグなどなど、これらはマスターである萬田銀次郎に借金して取りそろえたものであった。 その借金の返済のために、自らの宝具を使って萬田の仕事の手伝っていたのだ。 アサシンの宝具である密偵集団――血滴子は、債務者の動向を完全に把握し、夜逃げなど絶対に許さない。 いざ戦えば、ヤクザの集団など一顧だにしない戦闘力を誇る。 まさに萬田のビジネスのためにあるような宝具である。 だが普通であれば、自らの生き様を象徴するに等しい宝具を、卑しくも借金取りなどに使う英霊などいないはずなのだが―― 「余の皇帝としての人生も、借金と税金の違いこそあれ、取り立て人として全てを捧げたようなもんやったからなあ」 アサシンはテーブルに並べられた様々な料理に箸をつけつつ、しみじみとその理由を語った。 萬田の関西弁がいつのまにかうつっており、その姿は威厳のイの字もない大阪のおっちゃんである。 「庶民への重税とかやないんや。賄賂やら脱税やらでがっぽり貯めこんどる富裕層から正規の税金貰おうとしただけやねん」 「それでも取り立て人ちゅうのはどこでも、どの時代でも恨まれますからなあ」 「せやせや。キリストはんの聖書でもやたら悪人扱いや。しかしマスターはどうせ恨まれるならなんで闇金融やねん。税吏じゃあかんのかい」 「性分といいますか……世の中、なんでも表と裏がありまっさかい。ワシはたまたま裏の方に縁があったということですかな」 「そういうもんかのう」 やがて夜は更け、宴もたけなわ。 アサシンは現世の料理を随分と楽しんだようだ。 ぐいとビールを仰いでから大きくため息をつき、そして呟くように語り始めた。 「いや楽しい。今、振り返れば余の人生は心から楽しめる瞬間などほとんど無かったように思う。 こうしてこの当世の衣装に身を包み、今の世の風俗を楽しんだだけで、サーヴァントとして呼ばれた甲斐はあった」 「大中華を統べる皇帝陛下にしちゃ慎ましやかですなあ」 「そういうものだ。強大な権力の中枢に居続けたそのかわり、自由などなかった」 萬田もアサシンの真名が分かってから、それなりに調べてはみた。 清朝五代皇帝、雍正帝・愛新覚羅胤禛。 ケチで疑い深く、密偵を全国に潜ませ、役人たちを監視、弾圧し続けた。 血なまぐさい後継争いの末に勝ち残り、独裁君主として弾圧と粛正を繰り返した人物であると。 その一方、熱心に政治を行い、税制改革などで功績をあげるなど、よく見れば全面的に悪い君主ではない。 だが。 「これを見ろ、マスター。我が父と息子の名はこの異国の書物にまでのっているのだぞ」 そういって取り出したのは世界史の教科書である。 これも萬田から借りた金で買ったのだろう。 いや、その分は働いて返したのだから、正確にはすでにアサシンの金であるだろう。 そこには確かに四代康熙帝、六代乾隆帝の名はあるが、五代目の名前はない。 「父上と我が息子は確かに傑物であった。それに比べて余は凡庸かもしれん、それは甘んじて受け入れよう。 だがそれでも、余はその身命の全てを国に捧げたという自負はある。 せめて……せめてもう少しだけでも評価されたいと願うのは、浅ましい願いであろうか」 他人の評価など所詮はあてにならぬものである。 大国の皇帝として、国体をつつがなく次代へと繋げただけで、それは偉業である。 しかしそれを他人が言ったところで、認められたいという気持ちが簡単に消えるわけでもないだろう。 結局は自分次第であり、自分の中の願望をどう処するかということなのだ。 「ワシにアサシンはんの願いについてどうこう言う権利なんぞありまへんがな。 しかしこうなったからには聖杯はんに願いの一つでも叶えてもらわんとワリに合わん、とはおもっとります」 「ふむ……それは一体」 「世界平和でんがな。平和な世の中でないと金貸しなんぞやってられまへんからなぁ!」 「なるほど、確かにな!」 アサシンは呵々、と笑った。 【CLASS】 アサシン 【真名】 雍正帝 愛新覚羅胤禛(ヨウセイテイ アイシンギョロ・インジェン) 【出典】 史実 【マスター】 萬田銀次郎 【性別】 男性 【属性】 秩序・悪 【ステータス】 筋力E 耐久C 敏捷B 魔力B+ 幸運B 宝具B+ 【クラス別スキル】 気配遮断:C サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を断てば発見する事は難しい。 【固有スキル】 貧者の見識:B 相手の性格・属性を見抜く眼力。言葉による弁明、欺瞞に騙され難い。 皇帝に即位する以前、雍正帝は四十年余りの時間を学問と、そして何より兄弟たちの骨肉相食む宮廷闘争を間近で観察することに費やした。 皇帝の子という最も尊ばれる身分でありながら、人間の最も醜い面を見つめ続けたことで得たスキル。 皇帝特権:B 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、等。 黄金律:B 身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。 大富豪でもやっていける金ピカぶりだが、散財のし過ぎには注意が必要。 【宝具】 『血滴子(フライング・ギロチン)』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:0~99 最大捕捉:99人 独裁君主として君臨した雍正帝は直属の密偵部隊を従え、中国全土の官吏たちを密かに監視していた。その部隊こそが血滴子である。 外見は黒づくめの旗袍(チャイナ服)、鎖で繋いだバズソーを武器とし、密偵や暗殺をこなす恐るべき諜報集団。 一人ひとりが凄腕のスパイであり、多数でかかればサーヴァントを討ち取ることも不可能ではない。 だがその真価は大清帝国全土を監視したという逸話の通り、情報収集能力にある。 ひとたび標的をマークすれば、たちまち戦力や真名の手がかりまで暴いてしまうだろう。 『大義覚迷録(シノセントリズム・ジャスティス)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0~3 最大捕捉:1人 中華皇帝の色を現す黄色のページで書かれた一冊の書簡。 蛮族と蔑まれていた満州族が、中華思想において漢民族の上に立つ正統性を示した記録である。 雍正帝はこの件について自ら漢民族の学者と討論し、これを論破したという逸話が宝具となった。 対象のあらゆる価値観を破壊し、雍正帝を絶対正義とあがめる奴隷にする凶悪な洗脳宝具。 抵抗に失敗してしまえば、人間でもサーヴァントでも人格が破壊されるため、生きている限り二度と元には戻らない。 【Weapon】 自らの宝具である血滴子たちを護衛兵として出現させる。 【特徴】 中華皇帝を現す黄金の龍を刺繍した帝服に身を包む陰気な目つきの男。 ケチで金にうるさく、疑い深い性格。 目の下に濃いくまがあり、顔色は悪い。 自ら揃えたスーツと眼鏡をかけているが戦闘時は元の服装に戻る。 時々マスターからうつった関西弁がでる。 【解説】 18世紀初頭、中華史上最高の皇帝と呼ばれた清朝四代康熙帝の後を継いだのが、五代雍正帝こと愛新覚羅胤禛である。 彼は第四皇子として生まれた時から十数人もの兄弟たちの権力闘争の中で育ち、そのせいか非常に猜疑心の強い人物だったと言われる。 彼自身を皇太子に祀り上げようとする有力貴族たちの誘いに一切のることをせず、約四十年間を学問と仏教信仰に捧げた。 この時点で次代の皇帝になろうとする野心など、彼には一切なかったはずである。 ところが皮肉にも、我が子たちの醜い権力闘争によほどうんざりしていたのか、父である先代皇帝は一切の野心無き彼を後継に指名する。 この瞬間、一人の恐るべき独裁皇帝が誕生した。 有力者たちの派閥に組しないということは、誰も依怙贔屓しないということである。 誰の後ろ盾もないが、その代わり誰でも敵として叩き潰せるということである。 彼は皇帝に即位してからすぐに実の兄弟である皇子たちを粛正、有力貴族にも一切容赦をせず恐怖政治を敷いた。 全国に密偵を派遣し、官吏たちにこまめな報告を義務付け、不正を行えば誰であろうと処罰した。 その一方で自らにも厳しく、全国から集まる報告の書簡に自らすべて目を通し、睡眠時間は四時間に満たなかったと言われる。 前述の密偵も、ただ監視をするだけではなく、下級官吏に業績の優れた者がいればこれを褒賞した。 そんな激務を続けた結果、即位から十三年で死没。過労死した疑いが一部でまことしやかに囁かれている。 当時の清王朝は、先代康熙帝の華々しい戦功の陰で、内部は腐敗しつつあった。 腐敗の原因は、王朝の運営母体そのものである中華のエリート官僚たちである。 それを取り締まれるのは彼らの上に立つ皇帝しかいないので、雍正帝は彼らの憎悪を一身に浴びながらも改革を断行した。 監視の目が届かず、不正を放置されていた地方政官を粛正し、賄賂で税金逃れをしていた富豪も取り締まった。 雍正帝は中華を治める皇帝でありながら、中華全土の官吏を敵に回して税金を取り立てた、中華最強の取り立て人である。 【サーヴァントとしての願い】 独裁者としての悪名を返上したい。 【マスター】 萬田銀次郎@ミナミの帝王 【能力・技能】 利息は十日で一割増えるトイチの闇金融を経営している。 数千万の現金でも自由に用意できる資金力があり、また夜逃げした相手を絶対に逃がさない探偵顔負けの追跡術もある。 ヤクザ相手に一歩も引かない胆力の持ち主で、よく法律相談も引き受けるなど、様々な方面の知識に詳しい。 【人物背景】 ギンブチメガネと大仰な関西弁がトレードマークの闇金融屋。 幼少時代、非常に裕福な家庭(父親は萬田建設の社長・萬田浩一郎、母親は里子)で育つ。が、紆余曲折有って、後に貧困地区に堕ちた萬田銀次郎。 そこで「長老」をはじめとする元エリート層から落ちぶれた住民に政治・経済・礼節等を徹底的に叩きこまれる。 その後、金貸しの師匠・矢吹金造に金融のイロハを習い、ミナミのマンションの一室に裏金・『萬田金融』(「萬田銀行」と称することもある)を開く。 利息はトイチ、「逃げれば地獄まで取り立てに行く」が謳い文句で、法の中と外のボーダーラインで活動している。 ヤクザや権力者でも萬田の取り立てからは逃げられないといわれ、周囲からは「ミナミの鬼」と恐れられる。 冷酷ではあるが、萬田に返済できない状況に陥った債務者から話を聞き、事情によっては返済できる状況に戻すような人助けをすることも多い。 もっとも、それはあくまでも「ワシに返済させるためにやったことだ」という体裁である。 一方で債務者から取り立てる代わりとして、萬田が自ら詐欺を仕掛けて嵌めた事例もある。 【マスターとしての願い】 世界平和。